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鈍感とは『強さ』ではなく、『感受性の劣化』である

人間は精神的に強くダメージを与えるものが現れると半ば無意識にそれを小分けにして心の奥に仕舞おうとします。
顕在意識からの記憶を薄めることで出来るだけダメージを分散してショックに耐えようとするのです。


例えば生まれてから今までの『苦しみ』のすべてが一つの大きな塊のようになっていたりしたら、あまりにもダメージが大きくて耐えられないでしょう…
そのため分割して隠してしまうのです。
 
ここでいう「隠してしまう」とは「自分自身の顕在意識からは認識しにくいようにする」という意味です。
心の在り方としては潜在意識の奥に押し込んでしまうのですが、現実問題として身体のあちこちに地雷のように埋め込まれていたりします。
何らかの体感を伴ってね…
 
人間の心にはそういう自動車でいうところのショックアブソーバーみたいな機能が元々備わっているのだと思います。
一定以上負荷が掛かるとそれを分割分散してダメージを和らげようとする機能がね。 
 
このショックアブソーバーによって人間は知らず知らずに随分救われています。
心や身体に対して一度に受ける過大な負荷を分散し、ダメージを軽減しているからです。
 
ただし、このショックアブソーバーはダメージを小分けして心の奥底に閉じ込めることを機能としていますので、それが作用すればするほど心や身体の風通しは悪くなります。
あまりに風通しが悪くなると身体なら『硬化』を起こし、心なら『自閉』を起こします。
 
それに、小分けされたダメージの数々は綺麗さっぱり無くなるわけではありません。
分からないように心の奥底に仕舞われているだけです。
 
分からないようにするためにはその分心を閉じる必要があります。
そして、閉ざされれば閉ざされるほど心には『澱み』と『歪み』が生まれるのです。
 
そのため、ダメージを分散させる機能が過度に働きだすと元々持っている自分の『素の感情』が分からなくなったりします。
心を閉ざしすぎて心が深海作業のための潜水服着ているような状態になるからです。
そんなモノを着て何かを触ってもごく普通の触覚は得られないように、誰もが持ってるような日常的な感覚が得られなくなっていくのです。
 
ここでいう「誰もが持ってるような日常的な感覚」というのは、簡単にいうと喜怒哀楽のことです。


「そんなことがあったら、誰でも喜ぶよねor怒るよねor悲しむよねor楽しいよね」みたいな大多数に共感されるような感情や感覚を指します。

自分の感情・感覚をまともに感じられなくなるってのは、心にとっては相当危険な状態です。
何故なら心の風通しが悪くなるとダメージをダメージとして認識出来ず、ショックアブソーバーがちゃんと吸収出来なくなるからです。
 
それでも、我慢し続けた結果苦しさを感じにくくなったこと(鈍感さ)を心が強くなったと勘違いしてしまう方が世の中には結構いらっしゃるような気がします。
鈍感は心の強さなどではなく、自閉による感受性の劣化だと認識した方がいいんじゃないでしょうかねぇ?
 
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