このブログではこれまで『根性論』というものについて度々言及してきました。
ここでいう『根性論』とは「気力が充実さえしていればよっぽどのことがない限り世の中大抵のことは精神力で乗り切れるのだ〜！ 」みたいな考え方のことです。
で、この根性論の仲間に『自己責任論』というのがあります。
ここでいう『自己責任論』というのは「やると心に誓って物事に当たれば、どんなことでも出来ないことはない。」という前提からの「出来ないのは出来ない奴が悪いのだ！」という考え方のことです。
つまり、「やり方さえ間違わずに努力すれば何でも出来るのが当たり前！」という発想なのです。
この「何でも出来て当たり前」という発想は「この世は予定調和の世界だ」とベーシックに捉えてることを意味します。
ここでいう『予定調和の世界』というのは「この世界では何時でも何処でも誰にでも分かりやすく辻褄ってのは合うものだ」という考え方のことです。
そういう考え方の人は「辻褄の合わないのは辻褄を合わすことの出来ない人の側に常に責任がある」って捉えるのです。
勉強で例えるなら「算数の問題にはちゃんとした『解答』が先に用意されているのだから、その『解答』に辿りつけない子は単に本人が勉強不足なだけだ！」みたいな捉え方です。
別の言い方をするなら「本人が望めば人生には明解な答えが用意される！ なぜなら、この世ははっきりクッキリと辻褄が合うように出来ているからだ！」ということです。
自己啓発系の好きな方とからはそんな考え方の人が多いんじゃないでしょうか？
例えばこんな風に↓
人生で重要な3つのこと1、ゴールを超鮮明にイメージすること (後略)
先ず人生にゴールってモノを自在に設定出来るんだって発想が、「世界は予定調和している」って前提がないと成り立たない考え方ではないかなと思うのです。
「望むべきゴールを鮮明にして、そこに向かって頑張ればやがて自分が到達するべき未来が必ずやって来る！」という発想です。
でも、本当に世の中そんなに都合良く辻褄が合うものなんでしょうかねぇ？
私はもっと理不尽で不条理な世界ではないかと感じています。
一人一人の人間にとってはね！
人間万事塞翁が馬って故事があります。
幸は不幸となり、不幸はまた幸となり変転止まるところを知らないって諺です。
その変転が結局どういう結末を迎えるかちっぽけな人間風情には分かるべきことでもないのです。
であるなら、そもそもゴールっていう設定自体不毛に感じます。
物語でいえば、ご本人が本編だと思ってたモノがプロローグに過ぎないなんてことが起こり得るからです。
ゴール設定した場所が単なる中間地点だったなんてことがあっても不思議がないのです。
そもそも個人の事情やがんばりだけで人の運命が決まるわけではありません。
世界の変動によって個人の人生が翻弄されるなんてことは歴史の中には履いて捨てるほどありますし、これからもあるでしょう…
辻褄の合わない世界でも希望を失わずに生きていくのが塞翁が馬ってヤツかなと思います。
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