世の中には他から抜きん出た『特別』なチカラを持ちたくて仕方のない方々が大勢いらっしゃいます。
具体的には権力や金の力から始まって超能力みたいなオカルトなモノまで色々ですけどね…
ただ、『特別』なチカラを持つってことはその裏付けとなる『特別』な立場と『特別』な役目も付いてきます。
そうじゃなければ他からそのチカラの『正当性』を認められませんので。
例えばの話、ある会社の人事部長に人事に関する大きな裁量権が与えられているとすれば、それは人事部長という『立場』にあるからです。
人事部長の『立場』にそういう『権力』が与えられているのは、人事を円滑に行うという『役目』が与えられているからです。
もっと言えば人事を通じて会社を発展向上させるという『使命』が与えられているのです。
しかしながら、一般社会ではそんな『使命』について一々声高に『特別』なものとして語られることはありません。
また、その『使命』を果たすための『役目』もまたありふれた日々の『業務』としてコツコツと地味にこなされていくだけです。
スピリチュアルやら宗教やらに関係している人々の中には「自分たちが特別な使命を神なら宇宙人やらに与えられてる!」と本気で信じている方々がいらっしゃいます。
人類とか地球とかの運命に関わる特別で壮大な『使命』とやらをです。
でもね、その人の『使命』とやらが万が一「地球を救え!」みたいな壮大なものであったと仮定しても、その『使命』を果たすのに見合うだけのチカラが与えられているだけであり、そのチカラを使うのに見合うだけの『役目』を与えられているだけのことです。
それ以上何ら特別な使命も権限も与えられはしないのです。
「ある種の選民思想を満足させるような特別感はどこにも無い」ってことです。
『使命』とかって言葉を好む人ってのは、自分が『特別』に選ばれた人間だと思いたがる傾向が強いように思えます。
それは十中八九自分のプライドが満たされないことに対するコンプレックスの裏返しです。
だから、自分は他人とは違う『特別』な運命の下にある人間だと思いたがるのです。
先ほどの例えでいうと人事部長になって人事に関する大きな裁量権を与られた途端、まるでそれが自分という個人に与えられた権利のように振る舞う人がいらっしゃいます。
『役目』に対応して与えられた権限を、何故か自分という個人が元から持っているチカラであるかのように勘違いしてしまうのです。
で、これに対する答えを敢えてブラック会社の苛烈な上司風に言うと「お前の代わりなんざぁ! いっくらでもいるんだよ!」ってことになります。
先ほども申し上げたように「地球を救う!」みたいな壮大な使命があったとしても、それを行うための要員や機会には絶えずスペアが用意されています。
要は自分だけが唯一無二の存在として、特別な使命を与えられているなんてことにはなってないということです。
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