コインには表と裏があります。
裏だけを削り取ったら、その時点ですでにコインではなくなります。
表だけ削り取ってもそれは同じです。
夜が明けたら朝になる
雨が上がれば晴れになる
光があれば闇がある
片翼だけの飛行機はどうやったって飛べないのです。
光の中に闇を見る人は、闇の中にも光を見い出せる人です。
光だけを見て闇を見ようとしない人はマヤカシにやられて闇に取り込まれる人です。
闇の何たるか知ろうとするなら、闇に近付くしか知る術はありません。
闇に近付けば近付くほど否応なく闇を覗きこむことになるでしょう。
とはいえ闇は何時もおぞましいばかりの存在ではなく、一方で退廃的な甘美さも持ち合わせています。
そして、その退廃的な甘美さに絡め取られてしまう人も少なくありません。
「自分は何があってもそんなモノに絡め取られない！ そんな弱い人間じゃない！」なんて考えてる人ほど危ういのです。
そういう考え方こそ一番闇に呑み込まれやすい考え方だと思います。
『自分の中の闇』が見えてないからです。
いや、自分は心の暗黒面に堕ちることはないって思ってるならまだマシかも知れません。
自分にある心の暗黒面の存在に何となくでも気付いているからです。
世の中にはもっとずっと心の暗黒面に対して無頓着な人がいらっしゃいます。
多分そういう人はこれまであまり心の闇を覗かなくてもよかったのだと思います。
自分のにしろ、他人のにしろね…
それはすごく幸運なことだなと感じます。
でも、同時に危ういなとも思うのです。
純心な人ほど暗黒面に堕ちやすいからです。
別の言い方をすれば、汚れちまったオトナは闇に対する免疫があるとも言えます。
「自分は大丈夫！ 自分だけは何があっても暗黒面なんかに堕ちることはない！」なんて思ってる人が一番危ないのです。
人は誰でも切っ掛けさえあれば、あっという間に暗黒面に堕ちます。
誰一人例外なくね！
これからの時代、否が応でも人々は自分の或いは他人の暗黒面を覗き見ることになるでしょう。
インターネットとか双方向通信がドンドン発展して情報量が増えるからです。
だから、暗黒面への免疫力？みたいなモノを各々が身につけないと生きていくのはますます苦しくなるでしょうね。
ボンヤリ生きられた『牧歌的な時代』の終焉です。
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