世の中には「原因をちゃんと知ることさえ出来れば物事にはいつでも単純明快なオチが付くのだ」って信じている人々が結構大勢いらっしゃるようです。
ここでいうオチというのは「その人々が納得出来るような結末のこと」ですがね…
で、物事に直ぐにオチを付けたがる人の行き着く果てが所謂『陰謀論』だと思っています。
ここでいう陰謀論的なモノの見方とは「人類の歴史の全てはごく少数だが超強力な闇の勢力みたいな者たちによって連綿と精密に作り上げられてきたのだ！」というような考え方のことです。
そういう考え方に少なからぬ人々が何故ハマってしまうかというと上手くいかない出来事を自分以外のモノのせいに出来るからです。
例えば「自分には才能もあるし、一生懸命やってる。それなのに社会的な成功が得られないのは何か自分の外側に原因があるのではないか？ いや、あるに違いない！」と考えるのです。
そして、「そもそも世の中に悲惨なことが溢れているのは自分を含め大多数の善良な人々のせいではなく、ごく一部の邪悪な悪の組織 (時の政府や多国籍企業等々) が、この世界を牛耳ってるからに他ならない！」みたいな視点に行き着くのです。
そうなると『都合の良い事実』にばかりに目が行くようになります。
ここでいう『都合の良い事実』とは自分の考えた陰謀論にとって不都合な部分を取り除いた『本当にあった出来事』のことです。
その都合の良い事実をパッチワークのように繋ぎ合わせていけば楽々と陰謀論に辿り着きます。
それで世界がスッキリくっきり見渡せた気分になるのです。
つまり、「きっちりオチが付く」ってことです。
まぁ、オチが付くって言ってもそれは『その人の中限定』の話ですけどね。
この「きっちりオチが付けたがる」というのは、認識を歪める一つの大きな要因になっていると感じます。
この世はもともと理不尽で不条理な世界ですから。
理不尽で不条理な世界でいつもきっちりオチを付けようとすればそりゃ認識は歪みます。
四角い容器に丸い物をみっちり隙間なく詰めようとするようなものですから…
じゃあ、なぜ人はきっちりオチを付けたがるのかというと、分からないことの不安から逃れたいからです。
分からないってことが不安を生むので分かることで安心したいのです。
そして、無理やりにでも物事にオチをつけて安心したいという心の行き着く先が陰謀論だと思います。
単純にすることでオチが付き、安心出来るからです。
陰謀論者は「何か分からないけど、そうなってるんだよな」みたいな曖昧さをひどく嫌っているように見えます。
その『曖昧さ』こそが、ある意味この『世界』そのものなんですけどねぇ…
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