怒ったりも羨んだりもするものです。
快楽もあれば苦痛もあります。
そうした身体や心に起こる大波小波を日々乗り越え、また乗り越えてゆくのが『人間の日常』なんだと思います。
そういった『人間の日常』に根ざしたありふれた平衡感覚を先ず大切にすることが、心がオカシげな方向を向いて突っ走らないようにするための最終的な羅針盤になるのです。
それは例えば「(理由は分からないけど) 何だかこれ食べたら危ないぞ⁉︎」という所謂『勘』や「(特に何があったわけではないけど) この店何か良くないなぁ(ー ー;)」という感覚のことです。
生きるためにこの世の動物に遍く与えられた危機察知能力と申しましょうか…
つまり、勘ってのは選ばれた特別な人だけが持つ特殊能力などではないということです。
それどころかどこにでも誰にでもある、もっと言えば人間以外の生物も持っている生きるためのチカラです。
繰り返しになりますが、いざという時の危機察知能力というのはごく普通の日常生活の中にある平衡感覚に支えられています。
つまり、平衡感覚を磨くことが『勘』を鋭くすることに繋がるわけです。
で、問題は具体的に「どうやったら『勘』を鋭くすることが出来るのか?」ってことです。
簡単にいうと勘を鋭くするには出来るだけ自然に触れる機会を増やすことが大切です。
それも箱庭のような穏やかで管理された自然ではなく、出来れば自然の猛々しい相貌にちょっとでも多く触れることです。
要するに最初に申し上げた生き物が持って生まれた危機察知能力が発動しやすい場面を少しでも増やすことが大切ってことです。
それによって否応なく勘は研ぎ澄まされていきます。
要するに自然に触れれば触れるほど勘の素になる五感が鋭くなるということです。
逆にいえば人工的な環境に身を置けば置くほど五感は鈍くなっていきます。
五感が鈍くなった人は理屈で物事を捉えることが当たり前になるのです。
そして、理屈で物事を捉えることの方が知的で高尚であると信じるようになります。
感覚的に物事を判断を頼るのは感情的で低俗なやり方だと考えるのです。
でも、勘が鈍くなるってことは自分の身に降りかかる危険を察知する能力が衰えるということです。
何でもかんでも理屈で判断するのをクセにしているといざという時に勘が働かなります。
時にそれは生死を分けるのです…
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