例えば『現実に犯罪が多発しているのを事実として認識すること』と『現実に多発しているのだから犯罪はあって当たり前と思うこと』は全く違う話です。
実際に犯罪はあるけど、あくまでもないのが理想の姿であり、そこに向かって努力しているのが『現実』です。
置き換えると『現実に競争が自分を含めて人間社会に存在しているのを単に認識すること』と『実際競争があるのだから競争社会のエゲツない部分もあって当然なんだよ！と思うこと』は全然違う話だということです。
つまり、『現実に存在することを「そんなこともあるんだな～」と単に事実として認識すること』と『その現実を自分の心の奥まで入れ込んで「そうだ！そうだ！その通りだ！」と肯定すること』は別なんです。
何度もしつこく言いましたが、この2つのことをごちゃごちゃにして「あるんだから素直に認めろよ！」的なことをおっしゃる方が結構多い気がします。
「認識すること」と「容認すること」をごちゃ混ぜにすればするほど、その人の心の中では自分か容認したモノが『あって当たり前のこと』として馴染んでいきます。
あくまでもその人の心の中での話ですけどね…
で、最近またこんな文章を拝見したのです↓
人が「普通の人」のラインを突破して高みに到達出来るかどうかは、最終的には足を引っ張る他者を振り切れるかどうかにかかっています
引用文のベースには競争至上主義のようなモノを強く感じます。
競争社会というのは評価というハカリで常にハカリ続けられる世界です。
評価とはある一定の基準のもとに『物ごとに優劣を付けること』です。
もっと下世話な言い方をすれば『人や物に値札を貼ってまわること』です。
なので、自分に付けられた値札が気にくわない人間は必ず出てきます。
偶然ではなく、モノゴトの筋道の必然としてね！
なので、そういう世界観(競争至上主義)からすれば、当然足を引っ張る者が現れるはずだと考えるし、足を引っ張る者は蹴落とさなくてはならないと考えるのです。
人間は「高みに到達できる素晴らしい者」(競争における勝者)と「地面に這いつくばって妬んだり恨んだりする者」(競争における敗者)の２つに分かれるみたいな考え方ですね…
最近世間で言われるいわゆる一つの自己責任論もこの競争至上主義から来ているように感じます。
競争が大前提なのだから、「敗れた者は常に自己責任だ！ 他人のせいにするじゃねぇよ！」って理屈です。
ただ、皮肉なことにその理屈こそが、より一層妬みや恨みを巷に溢れさせ、自分たちの足を引っ張る者を増やしていることにいわゆる勝ち組の人たちは気付いてないのです。
勝ち組の人だって、 足を引っ張る人間を蹴落とすことばかり考えていると、「いつ自分が足を引っ張る側に堕ちていくか」知れたものじゃないのにねぇ…
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