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天罰論という人間に対する過大評価

一人の人間に見えてる世界なんて本当に小さなモノです。
ていうか人類という種の見ている世界ってのは人間が思ってるほど大きくはありません。
 
人間基準では大きいかも知れませんが、それはあくまで人間基準です。
人間を超越したもっと大きな世界の『モノの道理』が、人間のいうところの『世界の動き』といつでもどこでも一致しているとは限らないのです。

 
仮に蟻が人間並みの知能があったとしたら、蟻の見ている世界のスケールはせいぜい自分の住んでいる蟻の巣周辺くらいでしょう。
人間の単位でいう隣りの町内くらいのスケールでも、それを自分たちの世界として認識することは困難であると思われます。
 
で、例えばそこへ人間の子どもが来て、ジョウロで蟻の巣の入り口に水を撒いたら蟻の巣は大惨事になります。
そうしたら、頭のいい蟻の個体はそれを「これは世界の終わりの始まりの大洪水だ! カミサマの与えた試練だ!」とか考えるかも知れません。
この蟻を人間に置き換えると実際似たようなことが「人間の世界という蟻の巣」にも起こってるんだろうなと推測出来るのです。
 
頭のいい蟻は蟻の巣へ水を撒いた人間の子どもを神と名付けるかも知れないです。
大洪水を起こした偉大なるチカラを持つモノとしてね。
 
そして、ジョウロで水を撒いたことについてああでもないこうでもないともっともらしい『意味付け』を行おうとします。
例えば「神は驕り高ぶった蟻世界に天罰をお与えになり、世界を一新されたのだ!」とかいう神の意志についての意味が考えだされるのです。
 
本当はただの「子どもの気まぐれ」だったりするんですけどねぇ。
とにかく蟻に人間の子どもの気まぐれな意思をちゃんと認識することは無理なのです。
 
同じように人間に『人間よりずっと大きな存在』の意図を正確に把握することは出来ません。
そんなことが出来ると思うとしたら、それは「人間だけは他の生物とはちがう特別な存在だ」という『思い上がり』です。
 
地球からしてみれば、人間は蟻と大差ない存在だと思います。
地球は人間の知らないことだらけなのは当たり前なのです。
 
この世界には『天罰論』みたいなモノが昔からあります。
例えばそれは「世界各地で異常気象や天変地異が頻発しています。これは人類に対する神の怒りです。」みたいな感じの考え方です。
 
人間にダメージを与える自然現象や人々にネガティブな影響をもたらす社会現象を神さまの人間に対する感情と結びつけるのです。
別の角度からいえば「神>人間>自然」って構図で世の中の物事を捉えているとも言えます。
天罰論は人間に対する人の側の過大評価です。
 
 
 
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