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恣意的に歪められた『世界』を補正するのは『想像力』である

人間というのは本質的に無知な生き物です。
人間ごときが何でも分かるわけがないのですから当たり前です。
 
でも、知らない部分は何かで補わなきゃなりません。
その何かとは簡単にいえば『想像力』です。 
 
ここでいう『想像力』とは知らないなら知らないなりに一生懸命察したり慮ったりしようとする心の働きのことを指します。
先ず自分の無知を皮膚感覚で知ることが『想像力』を養うための第一歩です。

逆に知ったつもりになればなるほど『想像力』を失っていきます。
「自分は何でも知っている」という万能感は『想像力』を削ぎます。
 
万能感が強い人は他者を慮るチカラが必然的に弱くなります。
それは万能感が強い人ほど他者を察したり慮ったりする必要を感じないからです。
 
なので、慮るチカラが弱いというのは心の視野が狭いということを指します。
ここでいう心の視野の狭さとはその人独自の先入観に凝り固まった頑固な状態のことです。 

当然心の視野が狭くなるほど周りのことなんて見えなくなります。
見えてるのは『自分』から見て半径3メートルくらいのマイワールドです。
そして、そのマイワールドこそ『世界』そのものだと勘違いしてたりします。


視野の狭い人は思い込みが激しいです。
思い込みが激しい人は他人の話をロクに聞けません。

 
聞けないだけでなく、自分の思い込みに合致する事象しか目に入らなくなります。
無意識に好みに合うように現実を選別しているからです。
 
例えば都会の人の中には自動車がすごく贅沢品だと思っている人がいらっしゃるようにお見受けします。
それは都会では駐車場代がすごく高いのと、公共交通が発達しているので日常生活がクルマ無しでも成立するってのがある気がします。
で、それがごく普通だと考えているのだと思います。
 
田舎の人間からしたら、クルマ無しでは生活が成り立たないし、電車なんて何年かに一度乗るか乗らないかが普通だったりします。
普通の在り方が端から違っているのです。
 
要は想像力とは、「自分の『普通』とは違う『普通』がこの世にはたくさん存在するのかもしれない」と慮ることです。
それが出来ない人の心の視野は段々狭くなっていきます。
 
なぜそうなるかというと、「自分に見えている範囲が『世界のすべて』である」という想いが心の奥底に存在するからです。
言い方を変えれば、「想像力なんて発揮しなくても適切な答えはすでに自分の中に用意されている」と信じ込んでいるということです。
 
人間は誰もが自分の見たいものを見たいように見ている生き物です。
「見たいものを見たいように見ている」とは「その人の見ている所謂『現実』というのが、実はその人自身の潜在意識やら先入観やらによって恣意的に集められた出来事の集積に過ぎない」ということです。 
人は常に恣意的にモノを見ていますから、それを常に想像力を発揮しながら修正していく必要があるのです。
 
 
 
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